事業概要

学長ご挨拶
国際数物科学ネットワークで国際通用性ある数物科学人材を育成

金沢大学は、文部科学省の令和6年度「大学の世界展開力強化事業~EU諸国等との大学間交流形成支援~」に採択されました。「日本とEU諸国の先端科学の展開に向けた数物科学を牽引する人材育成プログラム」を展開しています。
本学の国際交流においてEU諸国は重要地域の一つです。EU諸国との大学間国際交流協定は39機関、部局間国際交流協定は25機関と締結(2024年度)しています。
本事業においては特に、産業応用を志向した数物科学研究に取り組む欧州の4大学との連携を強化します。これらの大学とはすでに密接な連携関係を有しています。本学を中心に多角的な視点と知見を獲得できるプログラムを実施することにより、社会課題解決の根幹を担う自然科学の基礎及び応用研究に関する研究能力を備えた、国際通用性のある数物科学系人材を育成します。
本学は、1996年に日本初の理学部計算科学科を設置しました。以降、数物科学分野においても、EU諸国の大学と長年の教育・研究での交流実績を有しています。また、本学は、2008年に理学部数学科、物理学科、計算科学科を理工学域数物科学類へ統合しました。これにより、理論・実験・シミュレーションの統合的な教育・研究環境を構築しました。数物科学は、今後ますます重要となる半導体・AIや量子技術の基盤となる学問です。この基盤を支える人材を国際数物科学ネットワークのもとで育成します。
また、本事業における4大学との連携を通して、本学が数物科学分野における日本と欧州の交流拠点となることを目指します。
皆さまにおかれましては、本プログラムの実施にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
金沢大学長 和田 隆志事業の特長
「日本とEU諸国の先端科学の展開に向けた数物科学を牽引する人材育成プログラム」は、金沢大学がEU諸国の大学との連携を深化させ、国際的な教育モデルを構築する取り組みです。
博士前期・後期課程を一貫型としてとらえ、前期課程DDPをコチュテル型へ転換し、早期修了の適用を前提とした博士前期・後期課程合わせて5年で修了できる金沢大学モデルを構築し、DDPの参加者の増加と、博士後期課程進学者の増加の両方を推進します。
国際数物科学ネットワークで国際通用性ある数物科学人材を育成


DDP/金沢大学モデル
金沢大学モデル
博士前期・後期課程を一貫型としてとらえ、前期課程DDPをコチュテル型へ転換した上で、前期課程におけるDDPで学位を取得し後期課程に進学した場合は、早期修了の適用を前提とした博士前期・後期課程合わせて5年で修了できる金沢大学モデルを構築
養成するグローバル人材像
諸課題の解決の根幹を担う自然科学の基礎及び応用研究に関する研究能力を備えた数物科学系人材


-
01
コミュニケーション能力
英語という外国語運用能力だけでなく、相手に応じた言葉の選び方や論理性を伴う説明等、日本語、英語問わず言葉で適切に自分の意見を伝えられる能力
-
02
包摂性
多様な価値観や考え方を受け入れながら、他者と協働していくことができる能力
自分の置かれた環境を正しく認識し、その中で参加者が相互に作用し物事を進められる能力 -
03
先見性
社会の変化が極めて速い時代にあって、物事の本質を見極め、課題を発見し、現代社会の課題解決に積極的にコミットする能力
-
04
課題解決能力
多様なステークホルダーをまとめ上げリーダーシップを発揮しながら課題解決のための行動力、実践力を駆使し、実行できる能力
日本とEU諸国の未来を牽引するグローバル人材養成につなげます
ルーブリックの活用
「養成する人材像」が備える4つの能力は、プログラムを問わず日本とEU諸国が共通のゴールを認識できるようルーブリックを作成して明確化しています。
本事業で用いる評価の観点(能力)とその基準
観点(能力) | レベル0 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
---|---|---|---|---|
コミュニケーション能力
|
コミュニケーションをとることへの意欲がなく、自分の考えや必要な情報を伝えられない | コミュニケーションをとろうとする意欲があり、自分の考えや必要な情報を簡単になら伝えられる | コミュニケーションをとりながら、自分の考えや必要な情報をある程度論理的に伝えることができる | 積極的にコミュニケーションをとりながら、相手や場面に合わせて情報や表現方法を適切に使い分け、自分の考えや必要な情報を論理的に構成して明確に表現し、的確に伝えることができる |
包摂性
|
自身及び他者の持つ背景や価値観への関心が薄く、異なる個性を持つ他者と共生・共存することの必要性を感じていない | 自身及び他者の持つ背景や価値観に関心・理解があり、多様性社会の必要性を認識できる | 自身の背景や価値観を相手に伝えることができるとともに、相手の持つ背景や価値観の違いをも受容できる | 世界の多様性を理解し受容できるとともに、価値観の異なる他者と協働して目標達成のために行動できる |
先見性
|
社会の変化への関心が薄く、現代社会の課題を発見し解決する必要性を感じていない | 社会の変化へのある程度の関心は持っているが、現代社会の課題を発見し解決することへの関心がやや薄い | 変化する社会について基本的な理解を持つとともに、現代社会の課題を発見し解決することに意欲を持っている | 変化する社会への理解を持っており、新しい情報や技術を習得したり、それらを駆使して現代社会の課題解決に積極的にコミットできる |
課題解決能力
|
課題を正しく認識できず、自分のできることだけを実行する | 課題を見出そうとする思考ができ、多様なステークホルダーを認識した上で自分のできることを着実に実行できる | 課題を見出し解決しようとする思考ができ、自分のできることに加え、多様なステークホルダーをある程度巻き込んで行動できる | 課題解決に向けて自らイメージを持ち、多様なステークホルダーの立場や意見を尊重し、リーダーシップを発揮しながら目標達成のために行動できる |
連携大学
-
アイントホーフェン工科大学(オランダ)
オランダ南部のアイントホーフェンにある公立大学です。ヨーロッパの理工系大学の戦略的パートナーシップである「EuroTech Universities Alliance」の6つのメンバー校の1つとなっています。本学とは、2021年5月に同大学の数学計算機科学部と本学の理工学域・自然科学研究科で部局間国際交流協定を締結しています。
-
カールスタード大学(スウェーデン)
歴史あるスウェーデンの大学都市カールスタード市にある国立大学の一つです。本学とは2018年3月に大学間国際交流協定・学生交流の覚書を締結し交流を進めています。特にカールスタード大学の数学計算機科学科とは、本学数物科学系の計算科学コースおよび数学コースの間で、JASSO海外学生派遣および受入プログラムがこれまで採択されており、様々な研究者交流・学生交流が行われています。これまでの学生交流実績をもとに、本学とのDDP のプログラム開発のためのSTINT プログラムが採択されています。
-
レーゲンスブルク大学(ドイツ)
1962年にドイツ・バイエルン州レーゲンスブルク市に創立された公立の研究大学です。本学とは20年を超える全学交流の歴史があり、トップレベルの交流も活発に行われています。1999年10月に大学間国際交流協定、2000年1月に学生交流の覚書を締結しています。語学研修プログラムや派遣留学等で活発に学生交流を行っています。
また、2024年6月に金沢大学として初めてとなる戦略的パートナーシップ協定を締結しました。 -
チェコ工科大学(チェコ)
チェコ・プラハにある1707年創設の工科大学であり、中央ヨーロッパで最も古い工科大学の一つです。本学とは2014年10月7日に大学間国際交流協定および学生交流の覚書を締結。2017年10月31日に金沢大学自然科学研究科とチェコ工科大学プラハ校原子科学物理工学研究科との修士・博士二重学位プログラムの協定を締結しています。